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21: 付箋(香川県) []:2010/02/08(月) 19:28:31.05 ID:LGLXPvAa
杖をついた男が赤いコートを着て白い大きなマスクを口につけた女性に出会った。
女は男に近づくと一言、こう尋ねた。
「私キレイ?」
少し考えた後、男は答えた。
「ええ、キレイですよ」
するとその女性は突然マスクに手をかけ、それを剥ぎ取りながらこう言った。
「これでも・・・キレイかー!!」
何と、その女性の口は耳まで裂けていたのだ。
しかし、男は少しだけ困った顔をしながらこういった。
「私は目が見えないんですよ、なので"これでも"というのが何のことかはわかりません」
少し思案した後、女は男の手を取ると頬の裂けている部分をなぞらせた。
頬に触れた男の手が一瞬揺れ、自分の話している相手が口の裂けている女だと気づいた。
そして女は、もう一度先ほどの質問を繰り返した。
「これでも・・・口が裂けていてもキレイか!」

男の答えは変わらなかった。むしろ、よりはっきりと言い放った。
「あなたは、キレイな人です」
そして、男は光を感じない目を女に向けるとこう続けた。
「私が光を失ってからずいぶん経ちます、そして多くの人に会ってきました。
 今のように道で声をかけられたこともあります。多くの人は私が盲目だと知ると
 声をかけたことをあやまり、同情し、申し訳なさそうに去っていくのです。
 しかし、あなたは私の意見を聞こうとしてくれる。口のことも触れさせることで
 教えてくれた。私を特別視していないようですごく嬉しいことです。
 私は外見のことはわからないので、そういった基準でしか判断できませんが
 あなたは少なくとも、私にとってはキレイな人です。
 失礼でなければ、あなたともっと話をしてみたいです」
と、とても嬉しそうに話す男。
女はポカーンとした後、急にボンッ!と音が出そうな勢いで赤面し
「あ、ありがとう、きょきょきょ今日は時間がないから、これ、こここれで失礼します」
とだけ言うと走っていってしまった。

53: フードプロセッサー(dion軍) [sage]:2010/02/08(月) 19:35:27.72 ID:pwdqcAnr
>>21
これ続き読みたい


68: 付箋(香川県) []:2010/02/08(月) 19:39:33.01 ID:LGLXPvAa
>>53
走りながら女は自分に言い聞かせる。
(心臓がすごくドキドキしているのは今走ってるから!)
頭に浮かぶ先ほどの男の嬉しそうな顔を振り払いながら赤面した女は走り続けた。




それから、杖を持った男と大きなマスクをした女性が
仲よさそうに話しながら歩いているのがたびたび目撃されたという。


105: 付箋(香川県) []:2010/02/08(月) 19:51:07.23 ID:LGLXPvAa
女「私綺麗?」
男「綺麗だと思うよ。」
すると女は大きなマスクを外し耳まで裂けた口を歪ませ再度男に問い掛ける。口裂け女「これでも・・・綺麗かー!」
男「馬っ鹿!お前、いい女がそん弱気な事言ってんなよ!」
男はにっこりと笑いさらりと女の問い掛けを受け流した。
そう。男は歌舞伎町NO.1カリスマホスト城咲仁その人である。

そして2人のテーブルを食い入るように覗き見る3人の人影がある。
どうやら2人の古参ホストが新人ホストにNO.1の技を見て学ばせているようである。
ホストA「出た!『城咲誉め』だ!」
ホストB「ええか新入り!よう見とけよ!一度『馬鹿』と突き放し、次の瞬間すかさず誉める。
女はギャップに弱い。そのギャップを見事に突いたカリスマ話術や!」
新入りホスト「べ、勉強になります!」
何食わぬ涼しげな顔で客のハートを掴んだ城咲は間髪入れずに続ける。
城咲「じゃ、とりあえず何か食物でも頼んじゃおっか。ね。」
口裂け女「え?あ、あ・・・」
返事を待たずパチンと指を鳴らす城咲。
待ってましたとばかりに豪華なフルーツ盛り合わせが城咲達のテーブルに運ばれて来る。
口裂け女「いや、ちょ、あの、」
城咲「じゃ、食べよっか。結構いけるんだぜ?この店のフルーツ。」
言うや否や、両手にフルーツを鷲掴みにし凄まじい勢いで豪快に口に運び始める城咲。
果汁と果肉が城咲を中心にまるで噴水のように舞い上がる。
こっそりと覗き見ているホスト達から思わず感嘆のため息が上がる。
ホストA「新入り!見てるか!あれが城咲のカリスマ技の一つ、『城咲食い』だ!
あそこまでワイルドに物を食べる事の出来る漢は国内にはまずいない!
城咲の内に秘めたる力強さや心強さをすべてあの一瞬で垣間見る事が出来るわけだ!」
ホストB「それだけやない!無邪気に食い散らかす様子は女の母性本能をもくすぐる。まさに一石二鳥の荒技や!」

109: 付箋(香川県) []:2010/02/08(月) 19:52:07.72 ID:LGLXPvAa
暫らくすると城咲、
小刻みに体を震わせながら両手に握り締めた果物を周りのテーブルの客に投げ始める。
新入りホスト「先輩!あれは!?」
ホストA「あれは『はしゃぎ過ぎ』だ!」
投げ終えると内ポケットから素早くレモンを取り出す城咲。
真剣な眼差しで口裂け女の目に向けてレモン汁を執拗に飛ばし始める。
ホストB「『城咲レモン』来たでー!ビタミンC!ビタミンCが豊富や!」
口裂け女、目を押さえながら立ち上がり城咲に何言か怒鳴り付けると足早にテーブルを離れる。
すると城咲、ゆっくりとテーブルの上に立ち上がり口裂け女目がけて勢いをつけジャンプ。
空中で腕をクロスさせ口裂け女の後頭部にヒット。
古参のホストも覗き見ている事を忘れ思わず叫ぶ!
ホストA「ででで、出ーたー!!『城咲フライングクロスチョップ』だーー!
ホストB「距離にして5メートルは飛んではる!飛んではるでぇー!」
不意をつかれた口裂け女はそのまま倒れこみカウンターの隅に頭をぶつける。
城咲「馬っ鹿!お前ヨガフレイム」
突如、城咲の口から巨大な炎が吐き出され口裂け女は一瞬にして火だるまになる。

『城咲ヨガフレイム』は強烈だ。本当すごい。